おしまいの理系大学生が家でクッキーを焼く話(後編)
5億年ぶりに記事を書いています。
なんでしたっけ、クッキー?・・・あぁ、そういった話もありましたね。
えーと、そんなこんなで生地を成型していきます。
まず、生地のむらをなくすためにビニール袋に生地を入れて手でこねます。
できた生地を1/2,1/4,1/4に分け、1/4にココアパウダーで色を付けます。残りの1/4のノーマル生地と一緒に直方体に成型します。
できた生地を冷蔵庫で30分ほど寝かせます。どれくらい意味があるかは誰か対照実験でもしてください。
残しておいた1/2の生地は、寝かせ終わったらジップロックに入れて棒で伸して平らにします。このとき袋の隅に針で穴をあけておくと空気の出口が確保されて上手に伸せます。お正月のお餅を伸すときと一緒ですね。
先ほどの直方体はそれぞれ4等分して組み替えることで市松模様に、伸した生地は型抜きでくりぬきます。そうしてできたものがこちら
なんか二枚目の端に闇堕ちしたみたいな模様の生地がありますがまぁ気にしないでオーブントースターにぶち込みます。家にオーブンレンジなんて高級なものはないからね、しょうがないね。
こちらが完成品です。丸いクッキーはどこから出てきたんだって?うるせえな適当に作ったらできるやろがい
「さて、あとはこれを冷ましたらおいしいクッキーの完成だ!」
大きく伸びをしながらそう呟く。男くさい一人暮らしの部屋にはまるで似つかわしくない甘い香りが漂う。
ふと腕時計を見やると針は深夜2時を告げていた。
その時、台所のすぐそば、学生寮の廊下へとつながるドアの向こうから、大方この時間まで遊んできたのだろう、寮生が楽しそうに電話をしながら男の部屋の前を通り過ぎていく声が聞こえた。
こんな時間までクッキーを作っていったい何がしたかったんだろう?皆はもっと有益な時間の過ごし方をしているというのに。男はそんな雑念を必死にかき消そうと逃げるように台所を後にする。途中、乱雑に積み上げられたシンクの食器類を横目に大きなため息を吐きながら、男は倒れるようにベッドにうずくまるのだった。(完)